2017/03/18

さよならキムシアン

小学校3年生で学校の成績も優秀なキムシアン。
数日前の放課後、村のお兄さんが学校の校門から出てきたキムシアンを
村に連れて帰ってしまいました。
集団下校している子どもたちが帰宅後すぐにスタッフに伝え、ソカー
さんから村のお母さんに電話するもつながらず・・・。

キムシアンを私たちの施設に入れるように要請してきたCWCCにも
伝えて、なんとか連絡が取れました。

キムシアンの母親は夫から激しいDVに耐えられず、CWCCに駆け込み
その際にキムシアンをスナーダイクマエに入れてはどうか?というアドバイス
を受けたのです。
夫とは別れて暮らすことになったものの、いつ家を襲ってくるかわからない
中でキムシアンを施設に入れた方が安心と思ったらしく、それから彼女は
私たちの仲間になりました。

ちょうどその頃キムシアンの年の離れた兄がタイに出稼ぎに行きました。
その際、母親に「自分が送金するからキムシアンを学校に行かせてあげて
ほしい」と話していたそうです。
久しぶりに里帰りした兄が村にキムシアンがいないことを知り、連れて
帰ってしまったということでした。

わたしは基本的に状況が整っていれば親子が一緒に暮らす方がよいと考えて
います。
特にキムシアンのように10歳前後の子どもにとって母親と一緒にいることは
大切なことですし、母親が恋しいのは当然の感情です。

母親にはキムシアンを連れていったんスナーダイクマエに戻るようにお願い
し、話し合いを持ちました。
私たちと話している母親の横でずっと号泣しているキムシアンを見ていると
心が痛みました。

必ずこの子を高校までは卒業させること
それまでに勝手に結婚を決めて10代で嫁がせることがないこと
この2つに絞って母親の同意を得ました。

村の暮らす人たちの常識と街の人では考え方に食い違いが生じることも
多いため、できるだけわかりやすく話すことが大事です。
キムシアンと家族の将来のための話し合いであり、施設中心に話している
わけではない点を理解してもらうことに注力しました。

最終的に母親も、兄が勝手に連れて帰ってしまったことを詫びてくれて、
キムシアンの将来についても私たちと同じ考えであることを話してくれました。
村の人がこのように謝ってくれることは珍しいので、心あるお母さんの
対応に私もソカーさんも安堵しました。

書類作成などの諸手続き(地区長のサインをもらったり、学校の転校など)が
あるため、キムシアンにはあと3日ほどここで過ごし、その後は村で家族の
もとから学校に通うように伝えました。

そして今朝、彼女は母親に連れられて村に帰りました。

帰る前に私も彼女に会い、少しだけ話をしました。

ソカーさんから「おかあさんに村に帰りますと挨拶するんだよ」とうながされて
もなかなか言い出さず、もじもじする彼女が愛おしかったです。
か細い声で「村に帰ります。ありがとうございました。」というキムシアンに
「勉強がんばって、絶対に高校まで卒業するんだよ。元気でね。」と話しか
けると、ソカーさんが続けて「高校を卒業したら、そのときにはおかあさんに
報告しにおいで。お母さんは待っているよ。」と言ってくれました。
ソカーさんの気遣いとキムシアンに向ける優しいまなざし、心にくるものを
感じさせられました。

スナーダイクマエの支援物資からもらった真っ赤なワンピースを着て、
最後にぺこりと私に一礼する彼女に手を差し出し、硬く握手をしました。
なかなか手を離せない自分がいましたが、お互いの手の感触から気持ちを
伝え合えたと信じています。

またいつか・・・
またいつか彼女と再会できることを願っています。

お母さんと一緒に暮らせるようになってよかったね。
たくさん愛情を受けて今の素直さと聡明さを失わず育ってほしいです。

バイバイ、キムシアン。また会おうね。

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